1989年発売以来、ロングセラー商品として愛され続ける「夏煎茶」。暑い夏でも飲みやすい味。水出しですぐに、手軽に飲める形。下堂園こだわりの「夏煎茶」には、皆様に愛される理由があります。

レトロなパッケージの夏煎茶。ですが、その見た目とは違い、夏煎茶の開発は、とても革新的なものでした。なにしろ、開発コンセプトは「お茶屋がしないお茶づくり」です。
「夏に飲むお茶」「急須なしで飲めるお茶」「食べ物にあったお茶」「手軽にティーバッグで水出しできるお茶」……。当時のお茶業界における価値観からすると、どれも「ありえない」ような企画です。しかしそれは、お客様に“暑い夏でもおいしいお茶”を、手軽に楽しんでいただきたいという思いから生まれた発想だったのです。
当然、味・香り・水色(すいしょく)にこだわり、研究を重ねました。そして、お茶におけるうまみ成分の芯である、ダゴを使うと決めます。
「ダゴ」は、お茶屋さんだけが知っている、一般にはあまり流通しないお茶です。お茶を作る工程で出てくるもので、皆さんの目に触れない存在といえます。ダゴを大量に作れる農家さんは少ないため、入手の難しい材料でもあります。また、見た目も小石のようにコロコロしていて、一般的にイメージされるお茶の葉とは、まったくの別物です。

しかし実はこのダゴ、お茶のおいしいところが固まってできたものなのです。このダゴを上手に使えば、お客様においしいお茶をご提供できるはず……。開発担当者はそう考えて、試行錯誤を重ねました。そうして、見つけ出したのが、ダゴを刻んで香ばしく焙煎し、抹茶とブレンドするという方法だったのです。
ダゴを香ばしく焙煎することは、当然香りも引き立てます。香ばしさの決め手は、通常では考えられないほどの強い火入れ。開発当初は、「烈火火入れ」と言われていました。
火入れは、当然やり直しのきかない工程です。失敗を恐れて、当時の開発担当者は、強い火入れに二の足を踏んでいました。しかし、火入れ職人に「心配したって、どうせそんなに売れないんだから、やってみようよ」と、ダメもとで諭され、烈火火入れを決断したそうです。結果的には、それが功を奏したのですから、何事もやってみないとわかりません。

そして、この夏煎茶を「水出しの三角ティーバッグ」という、手軽にお楽しみいただける形でご提案したのは、それがまさに夏のお茶だからでした。暑いとき、今すぐ冷たいお茶を飲みたいという願いをかなえる形が、「水出しの三角ティーバッグ」だったのです。そして、ごくごくとたくさんお飲みいただきたい夏の飲み物だからこそ、お値段の手軽さにも、こだわりました。
パッケージデザインは、「鹿児島の夏」をイメージしたもの。初期のデザインは、開発担当者が自らが作り上げました。デザインナイフを手に、自ら波や鳥を切り抜き、組み合わせて、イメージを固めていく……。自分で開発した商品だからこその想いを込めて、デザインしていきました。担当者は、いまでもそのとき使ったデザインナイフを大切にとっていると言います。
「夏の水出し煎茶」という新しい提案が「定番」に
味・香り・水色、そしてパッケージともに、開発担当者が自信を持って世に送り出した夏煎茶。しかし、1989年の発売当時は、「水出しのお茶は邪道」とまで考えられていた時代です。お茶業界の人たちからは、「誰も買わないよ」とまで言われ、実際に発売初年度は、わずか500袋しか売れないという惨憺たる結果に終わりました。38,000袋を作って、500袋という販売量ですから、「大のつく失敗」といえます。開発担当者は、下堂園の社長から、「売り切るのに10年かかるな。気の長い男だ。度胸があるな」と、褒められた(?)と、当時を振り返ります。
しかし、2年目から事態は好転。5,000袋が売れ、3回目の夏が訪れると、東京にある一軒のお茶屋さんで、10,000袋を売り切るほどにまでなりました。「夏の水出し煎茶」という夏煎茶の斬新な提案を、わずか3年でお客様に受け入れていただいたともいえるでしょう。また、ほどなく類似商品がほかの会社からも、多数販売されるようになりましたが、それは「水出しのお茶は邪道」としていたお茶業界に、夏煎茶が認められたことの証でもありました。
こうして夏煎茶は、鹿児島、九州を中心に、すっかり夏の定番商品として定着していったのです。夏に飲んでおいしいお茶。食べ物と一緒に楽しめるお茶。暑い夏だからこそ、今すぐ水出しで飲めるお茶……。お茶業界から「邪道」と思われても、お客様目線で商品作りにこだわったことが、結果的に新しい提案となって、皆様に長くご愛顧いただけるロングセラー商品となり得たのだと思います。
パッケージをリニューアルした2010年からは、全国の皆様にもお楽しみいただけるようになった夏煎茶。暑い夏には、手軽でおいしい夏煎茶を、これからも皆様、ぜひお楽しみくださいませ。