学生たちが見つけるおいしいお茶の「黄金ブレンド比」
授業で学んだ食物栄養学の知識を、世の中に役立てたい。若者のお茶離れがささやかれる現代で、お茶の良さを見直し、その素晴らしさを広く伝えたい。
そんな学生たちの想いを受けて、下堂園では2006年からお茶の水女子大学と、いままでにない新しいお茶の開発を、共同で行ってまいりました。
学生たちは、「材料をグラム単位で調合しては試飲する」といった、地道な努力を繰り返します。お茶のブレンドは、実に繊細な作業です。0.1グラム変われば、味も香りも変わってしまいます。研究に取り組む学生たち全員が、「最高のブレンド比だ!」と納得できるまで、延々と地道な作業が続きます。性格も趣味も、味覚も異なる学生たちが、意見を出し合い、皆で作り上げる「黄金ブレンド比」。1商品につき、およそ1年の歳月をかけて、その比率を探っていきました。
特にこだわったのは、学生たちの専門分野である「香り」です。共同開発を進めてきたお茶の専門家も、彼女たちの斬新な配合が生み出すその香りに、驚きを隠せませんでした。「香りの成分分析を授業で学んでいるため、どの配合も理論的に的を射ている。それでいて、これまでのお茶の常識では考えられない配合でした」と絶賛しています。
誕生した3つのフレーバー

これまで共同開発してできた商品は3つです。いずれも、下堂園の有機農園で収穫されたお茶とハーブ、野菜を原材料とし、国産のお茶にこだわって開発してまいりました。
3つの商品には、それぞれ異なるテーマがあります。
第1弾の<ハーブ&ほうじ茶>は、「和洋折衷」がテーマ。「和」なほうじ茶と「洋」のジンジャー&レモングラスを使用。学生たちはジンジャーとレモングラスの香り成分が同じということを授業で学んでいました。この点に着目し、学生たちはジンジャーとレモングラスをほどよくブレンドし、香りをより一層広がらせることに成功しました。
続く<ゆず&ミント緑茶>のテーマは、「柑橘系」です。
お茶の配合ではこれまで、「ゆずはお茶より少なめに配合すること」が常識とされていました。しかし、学生たちは、テーマの「柑橘系」であるゆずを主役に、なんと50%以上も配合。若い感性ならではの全く新しいブレンド比を誕生させました。リラクゼーション効果のあるゆずの香りにこだわり、「ほっとする香り」を追及したのもポイントです。
最新作の<だいだい&にんじん紅茶>では、「野菜」がテーマになっています。ここでのこだわりは、にんじんの「皮」と「実」の配分です。「皮」の方が「実」よりも香りが強いことに着目。有機農園で収穫されたにんじんは、皮を使っても安全ですから、香りを引き立たせるために、皮部分もほどよくブレンドしました。酸味のあるだいだいは、全体の味を引き締めるのに一役買っています。
さらに進む、新商品開発
ハーブティーの新しいアイデアは、お茶大の学生から出てくる独創的な発想から生まれます。
2012年に開発された「ロゼ・ウーロン茶」も、最初の開発のテーマは「ピンク」でした。見た目のきれいさや可愛らしさから始めるお茶作りは、お茶屋にはない考え方なので、下堂園のスタッフは驚きでした。アイデアに合った素材を選び、何回も試飲を重ね、新商品が生まれていきます。
学生の皆さんからは「脂肪燃焼に効果があるお茶を作ってみたい」など、新たなレシピ茶のアイディアを提案していただいてます。お茶の水女子大の皆さんと私たち下堂園で作る新たなレシピ茶に、ぜひご期待下さい。